J-REITのETFの中でも運用期間の長い2つについて、運用実績を比較してみました。
比較する銘柄
今回はJ-REITのETFの中から、以下の2つを比較します。
これらはいずれも2008年頃から運用が開始されています。
- [1343]:NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信
- [1345]:上場インデックスファンドJリート隔月分配
比較1:株価と利回り
REIT ETFに求めるものは安定的かつ高い利回りです。
そこで、以下の実績を指標として比較します。
- 年毎の平均株価
- 年毎の利回り
計算方法
平均株価や利回りについては、具体的に計算方法を定めました。
平均株価
分配月の初日終値の平均株価を求め、それをその年の平均株価とします。
利回り
分配金を分配月の初日終値で割り、利回りを求めます。
この利回りを年間で合算したものを、その年の利回りとします。
例えば分配月は2,5,8,11である[1343]の場合、2009年の平均株価と平均利回りは以下の赤字部分になります。
2009/2 | 2009/5 | 2009/8 | 2009/11 | 2009年 | |
---|---|---|---|---|---|
株価 | 891 (2009/2/2) | 862 (2009/5/1) | 1058 (2009/8/3) | 984 (2009/11/2) | 949 |
分配金 | 5.4 | 11.6 | 12.2 | 15.6 | |
利回り | 0.61% | 1.35% | 1.15% | 1.59% | 4.69% |
比較結果
グラフにまとめると、次のようになりました。
結果は明らかでした。利回りでは総じて[1343]<[1345]となっており、株価は常に[1343]>[1345]となっています。
この8年間での実績は、明らかに[1345]の方が上だと言えるでしょう。
1345は分配の頻度が高い分だけパフォーマンスが劣るかと思っていたので、この結果は予想外でした。
比較2:分配金の推移
比較1では株価と利回りを見ました。
利回りが低下傾向にありますが、株価上昇が原因なのか、分配金の絶対額が減少しているのか不明確です。
そこで絶対額の推移も比較してみました。
集計方法
分配金回数は[1343]が年4回、[1345]が年6回と異なります。
そのため、ここでは年毎の分配金を合計して推移を比較します。
比較結果
グラフにまとめると以下のようになりました。
比較1において株価水準はほぼ同等でしたので、分配金の絶対額もおおよそ対等に比較して良いでしょう。
分配金の絶対額については大きな傾向の変化はなし、あるいは微増といったところでしょうか。
2009年と2012年は[1345]が突出しているのが目立ち、2013年は[1343]がやや突出していますが、その他はほぼ同等となっています。
2009年に[1345]が突出していますが、これはおそらくリーマンショックの影響が考えられます。
リーマンショック後は売られすぎの銘柄が多く存在し、J-REITの利回り10%を超えるものもあった時期です。
株価が大きく変動している時は買付けのタイミングによって大きな違いが出ます。
偶然かどうかは分かりませんが、[1345]の方が買い付けのタイミングが良かったと考えられます。
また2012年に[1345]が突出し、2013年に[1343]が突出しているのはおそらくセットで考えたほうが良いでしょう。
決算時期などの関係から、年を跨いだかどうかの違いだと考えられます。
2012年~2013年はいわゆるアベノミクスが始まった時期で、REITの株価も全体的に大きく上がり始めたことも影響しているかもしれません。
以上をまとめると、どちらの銘柄も分配金は長期的に見て変化なし、もしくは微増していると言えます。
[1343]と[1345]を比較すると、一時的な要因で分配金の違いは見られますが、長期的に見ればどちらも同程度と言って良いでしょう。
まとめ
株価と利回りの実績(比較1)では、運用パフォーマンスが高いのは[1345] 上場インデックスファンドJリート隔月分配でした。
分配金の推移(比較2)では、長期的には安定した分配金で推移しており、2つの銘柄間で大きな違いは見られませんでした。
以上を総合すると、J-REITのETFでこれまでの運用実績は[1345] 上場インデックスファンドJリート隔月分配の方が優れていると言えます。
運用実績が優れている上、[1345]の方が分配金の回数も多いのは嬉しいですね。
なお、最近上場したJ-REITのETFにはもっと信託報酬が安いものもありますが、これらはもう少し運用実績を見てから判断するのが無難でしょう。