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フロービジネスとストックビジネスの特徴に見る投資戦略

   

ビジネスモデルはフロービジネスとストックビジネスに大別されます。
これらの観点は、株式投資を行う上でも非常に重要です。

フロービジネス

フロービジネスとは?

フロービジネスとは1回の取引で1回の売上が立つようなビジネスモデルです。
シンプルで分かりやすい形態ですが、売上のためには営業活動を行う必要があります。
逆に言えば、営業活動を行わなければ売上は全く発生しません。
そのため、フロービジネスでは常に売上に応じた販売管理費がかかっていることになります。

フロービジネスの例

小売業

コンビニエンスストア、スーパーマーケット、家電量販店などの小売業は、典型的なフロービジネスです。
小売店では「来店者が店内で商品を選んでレジで会計する」という取引で成立しています。
一回一回の取引は独立したものであり、一回購入したからといって定期的に購入してくれる保証はありません。
また、店舗は商品陳列や在庫補充、接客、レジ打ちなどの業務を行わなければ売上を立てることはできません。

理容室、美容院

理容室や美容院もフロービジネスです。
来店客の髪をカットするサービスに対し、1カット3000円などの料金が設定されています。
理容室や美容院ではサービスの対価として収益を得ているため、サービスを提供しなければ売上は発生しません。

株や不動産などのキャピタルゲイン

キャピタルゲインを目的とした株や不動産の取引も、フロービジネスといえます。
売却価格から購入価格を差し引いたものが利益となりますが、それ以降継続的に売上は発生しません。

フロービジネスは短期的に業績が変動しやすい

フロービジネスではブームが起こったりヒット商品が生まれると業績に大きく貢献するため、株価も急上昇することがあります。
最近の事例としては、2016年7月頃にはポケモンGOのブームの影響でモバイルバッテリーが売れ、[6916]アイ・オー・データ機器の株価が上昇ことが挙げられます。
しかしブームが一過性であったり、他社にヒット商品の類似商品をリリースされると、業績の伸びは鈍化してしまいます。
またフロービジネスは景気の悪化が直接業績に影響しやすいため、やはり株価が変動しやすくなります。
一般的に景気が悪くなれば、支出を減らすために買い控えが発生します。
事業分野により「嗜好品では買い控えが起こりやすい」「食料品などの生活必需品では影響は限定的」といった程度の違いはありますが、フロービジネスでは買い控えの影響を受けやすくなります。
このようにフロービジネスは短期的に業績が変動しやすいという特徴があります。

ストックビジネス

ストックビジネスとは?

ストックビジネスとは半自動的・継続的な収益が見込めるビジネスモデルです。
契約を伴い、毎月一定額の収益を得られるようなビジネスが多いです。
このようなビジネスでは一度取引が始まると、あとは営業活動を行わなくても一定の収益を得ることができます。

ストックビジネスの例

水道、ガス会社、電力会社

典型的なストックビジネスです。
特にこれらはライフラインとして欠かせないインフラである上、競争には巻き込まれにくい業種なので、基本的には安定した業績が見込めます。
ただし最近は電力会社の原発問題、電力やガスの小売自由化など、先行きが不透明な話もあります。

携帯電話キャリア、ISP(インターネットサービスプロバイダ)

携帯電話キャリアやISPも典型的なストックビジネスです。
特に端末代の値引き、キャッシュバックキャンペーンなどを行ってでも契約数を増やしているのは、継続的な収入が得られるためです。
一方で、○年以内の解約では違約金を定めるなど、簡単には契約を乗り換えられないような工夫も行われています。

会員制スポーツクラブ、Webサービスのプレミアム会員など

月毎に会費を払わなければ利用できないスポーツクラブや、Webサービスのプレミアム会員もストックビジネスです。
会費の元を取ろうとする会員はサービスの常連客になってくれますし、顧客の囲い込みにも繋がります。
また解約にもわずらわしさを感じるので、これも顧客の囲い込みに繋がったり、利用率の低い顧客からも継続的に収益を得られるというメリットがあります。

保険会社

加入者から月毎に保険料を得られる、ストックビジネスです。
地震などの災害発生時には保険金の支払いが発生することもありますが、統計に基づき長期的には利益を上げられるような金融商品として設計されています。

株や不動産運用によるインカムゲイン

インカムゲインを目的とした株や不動産の取得はストックビジネスと言えます。
株では配当による継続的な収入が見込めますし、不動産では賃貸駐車場やアパートとして経営することで継続的な収入が見込めます。

ストックビジネスは長期的に業績が安定しやすい

ストックビジネスでは定期的な収益源があり、収益の予想も立てやすいため、業績が安定しやすくなります。
予算も組みやすくなりますので、突然大きな赤字になることも少なくなります。
また以下のような理由から、フロービジネスに比べると景気の悪化にも比較的強いです。

  • 固定費のようなビジネスが多いので、変動費よりも支払いに対する抵抗が薄れやすい
  • 契約・解約にわずらわしさを感じるため、立て続けに解約されたり、他社へ乗り換えられる可能性が低い

ストックビジネスは販売管理費を抑制し、次の投資に回しやすい

ストックビジネスでは半自動的かつ継続的に収益を得られるため、フロービジネスに比べると営業活動にかける費用を減らすことができます。
したがって、その分だけ研究開発や事業買収などの投資に充てられることになります。
携帯電話キャリア(ドコモ、ソフトバンク、KDDI)は研究や他企業への出資に積極的ですが、背景にはこのような事情もあるのです。

ストックビジネスとフロービジネスの混在型

ストックビジネスやフロービジネスは混在することもあり、すべての企業や事業をどちらかに分類できるわけではありません。
例えばアメリカ発祥のコストコは小売店ではありますが、有料会員でなければ利用できません。
小売店である点はフロービジネスですが、会員制の部分はストックビジネスと言えます。
また株や不動産投資において、「割安の時にインカムゲイン狙いで購入し、大きく値上がりしたタイミングでキャピタルゲインを得るために売却する」という戦略もあります。
これもストックビジネスとフロービジネスの両面を併せ持っていると言えます。

経営者や投資家にはストックビジネスが人気

ストックビジネスは長期的に業績が安定しやいため、経営リスクが相対的に低くなります。
そのため安定した成長を描きやすく、ストックビジネスは中長期の投資に向いていると言えます。
また経営リスクが低いということは、経営者や投資家に好まれやすいということでもあります。
一方、フロービジネスは業績が変動しやすい分、株価が変動しやすいことになります。
したがって低い株価で仕込んだり、高い株価で売り抜けるチャンスが多くなることから、フロービジネスは短中期投資に向いていると言えます。

まとめ

今回はフロービジネスとストックビジネスについて紹介しました。
長期的な視点で見るとフロービジネスは業績が変動しやすいですが、ストックビジネスでは業績が安定しやすいという特徴があります。
また、ストックビジネスでは得られた収益を元に投資しやすいという特徴があります。
一般的にはフロービジネスよりもストックビジネスの方が好まれる傾向がありますが、必ずしもストックビジネスのほうが優れているというわけではありません。
フロービジネス・ストックビジネスという観点から事業の収益性・安定性を把握し、それらを投資判断に活用できることが重要です。

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