新型コロナの影響で金融市場の空気も一気に変わり、コロナショックと呼ばれるようになりました。
今回のコロナショックの最大の特徴は、生活必需品以外の実需が抑制されることにあると思っています。
過去の金融危機でも消費マインドの減退はあったと思いますが、ここまで急激かつ極端に実需が抑制されることはなかったでしょう。
そんな中、どんな業界に影響があり、どんな銘柄を探せばよいのか、少し考えてみました。
小売、飲食、ホテル、旅行、イベント
これらの業界は新型コロナの影響が直撃していると思いますが、まだ影響は全て織り込まれていないと思っています。
これから日本での感染爆発が起きるリスクに加え、5月頃には決算で下げる余地が大きくあります。
3月には東京都内の飲食店で「3時間飲み放題付コース2,980円」というのを見かけるほどでした。
今の状況ではいくらクーポンを配ったりキャンペーンを打ったりしても、飲食店やホテル、旅行への参加者は限定的でしょう。
本来であれば、苦境にある業界ほど買って応援してあげたいと思う所なのですが…まだ厳しい状況はこれからだと思っています。
これらの業界の銘柄を買うとすれば、新型コロナが最も蔓延したタイミングになりそうです。
医療関係
マスク、消毒液、防護服、医薬品などの医療系は、新型コロナによって株価や業績が向上し得る業界でしょう。
当面は特需が続くでしょうし、業績的にも大きくプラスとなるはずです。
ただ、今回の需要は一時的なものとなる可能性があることと、既にその期待を織り込んでしまっていることが予想されます。
医療関係の重要性は認識したので、継続的に応援する意味でも、今回の騒動が一服したタイミングで購入したいと思います。
デジタルコンテンツ
電子書籍、動画配信、ゲームなどのように、家で楽しめるデジタルコンテンツ配信系は、特に注目を集めていると思います。
デジタルコンテンツ関係が大きくプラスになりそうなのは、以下の点にあります。
- 家で楽しめるコンテンツを求めている。特に学校がまだ再開しておらず、子どもによる需要が高い
- 雑誌やゲームを買いに行ったり、ビデオのレンタルに外出するリスクが高いため、新規ユーザが開拓できる
- 月額課金のサブスクリプション系も多いため、今回試したユーザが継続してくれる可能性がある
後の2つについては今回のコロナがきっかけとなってユーザを開拓でき、今後も継続的に利益をもたらす優良顧客になってくれる可能性があります。
これは一時的な効果ではないため、継続的に未来の業績を底上げすると予想されます。
ただしこの辺りも既に注目され尽くしてしまっているかなーと思っているので、あまり調査していません。 (というか、そもそもAmazon PrimeやNetflixなど海外勢が強すぎるから日本にあまり期待できない、というのもありますが…)
不動産関係
不動産関係はまだそこまで影響が出ていませんが、これから更に下げる可能性があると見ています。
それは、不動産系は賃料の請求を控えてほしいと言われる可能性があるためです。
不動産は小売、飲食、ホテルなどの関係が多ため、REITなどもこの業界に関わる物件は影響を避けられないでしょう。
逆に、物流系のREITであれば影響を受けづらく、むしろ通販類で伸びる可能性があると考えられるので、狙う余地はあると思われます。
不動産といえばREITですが、リーマンショックのときには上場廃止となった銘柄もあるため要注意です。
このリスクを抑えるためには、REITのETFを購入するのが良いと思われます。
[1555] 上場インデックスファンド豪州リート(S&P/ASX200 A-REIT)
海外(オーストラリア)のREIT ETFです。
ETFなのでリスクを分散することができ、下落局面や金融危機においてもある程度安心して買い下がりができます。
最近まで豪ドル円の下落が続いていたことと、コロナショックで投げ売りされたことにより、現在では高値の約半額程度になっています。
今までの利回りがキープできるとは思っていませんが、2011年頃の水準まで安くなっているため、下値は限定的でポテンシャルも高いと考えています。
大幅に下落したときに2,000株ほど買いましたが、折を見て更に買い増しも検討中です。
[2515] NEXT FUNDS 外国REIT・S&P先進国REIT指数連動型上場投信
こちらも海外のREIT ETFで、アメリカを中心とした先進国が組み入れられています。
現在では高値の2/3程度となっており、見かけ上は利回りがよくなっています。
こちらも今までの利回りがキープできるとは思っていませんが、安い水準になっているのは事実ですので、大きく買い増ししました。
まだ下落の可能性はあると思うので、折を見て買い増しを継続していく予定です。
通信系
通信系はこれから大きく伸びる余地があると見ています。
これは、リモートワークやデジタルコンテンツ配信によって帯域消費が増加すると考えられるためです。
最近はモバイル回線で十分という流れも強く、WiMAXを固定回線代わりに使う人も多く見かけました。
しかし、リモートワークとなると通信遅延がストレスに直結しますし、通信容量を大きく消費します。
そのため、今後はモバイル回線から固定回線へ回帰するユーザも一定数現れると考えられます。
[9432] 日本電信電話
回線事業者で光回線のシェアトップといえば、NTTでしょう。東日本・NTT西日本で圧倒的なシェアを誇ります。
そんなわけで、その親会社であるNTTを真っ先に候補へ挙げました。
最近、大きく下げたのを機に100株だけ買いました。
NTTは国内で大きな回線網を持っているため、通信量の増加は回り回ってNTTへ落ちてくると思いました。
配当利回りは3.80%と悪くありませんし、長期保有では株主優待でdポイントも期待できます。
[9433] KDDI
回線事業者でNTTの次に光回線シェアが高い企業といえば、KDDIですね。
最近はKDDIの回線も広く使われ始めた実感があります。
KDDIは配当利回り3.71%と高めですが、さらに株主優待があります。
そのため、KDDIを全く保有していない人は100株だけでも保有すると特に利回りがよいのでオススメです。
KDIIは投資先として悪くないと思いますが、私は既に100株保有しており、株価もあまり下がっていないため、買い増しは見送りました。
[9434] ソフトバンク
ソフトバンクは自前で固定回線を持っていないと思いますが、モバイル回線は強いので挙げておきます。
株価は大きく下落しており、配当利回りも6%以上あります。
購入する選択肢としては全然ありだと思います…が、個人的にはあまり好きな会社ではないので買っていません。
[9437] NTTドコモ
モバイル回線といえば、ドコモもありますね。
NTTドコモは借金が少ない経営で、配当利回りもよいです。
実はコロナショックの前から保有していたのですが、コロナショックで下げた後に大きく上がったタイミングで売却してしまいました。
しかし今では更に上がってしまっており、購入するにはちょっとタイミングが悪いのではないかなーと思っています。
株式取引
金融相場が荒れるとなれば、取引は必ず増えます。その状況で儲かるのは、胴元ですね。
そこで思い浮かんだのは2つの銘柄でした。
[8697] 日本取引所グループ
以前も紹介したことのある銘柄です。(参考)
日本で株式取引をするときには、基本的にここを通ります。1
そのためボラティリティの高い下落相場は、日本取引所とっては利益の増加に繋がります。
しかし既に、日本取引所グループは取引量の増加により目をつけられてしまい、買われてしまっているようです。
割高になってしまっているこの状況下で、日本取引所グループはあまりおすすめしません。
なぜなら不況に陥った後は株価が変動しづらくなり、株式市場そのものが停滞するため、日本取引所の利益は低下するためです。
今買うことはおすすめしませんが、それでも買いたい場合は100株だけにしておくことをおすすめします。
株主優待があるので、長期保有を前提とすればそこそこの利回りが見込めます。
私は2015年頃から100株ほど継続保有してますが、今は買い増しする予定はありません。
[8511] 日本証券金融
日本で空売り(貸株)が発生すればするほど利益になるのが、この日本証券金融です。
あまり日の目を浴びず、知名度は非常に低い銘柄です。
しかし参入障壁の高い分野と思われますし、株式取引におけるインフラの役割を果たしているため、そう簡単になくなることはないと考えています。
以前紹介した中部証券金融は名古屋証券取引所と強い関係がありましたが、日本証券金融は日本取引所グループと強い関係があります。
なお、中部証券金融は数年前に解散してしまい、中部証券金融が担当していた業務は日本証券金融に引き継がれています。
日本証券金融は金融危機になれば特別損失を出す可能性もあるとは思いますが、それでも下落局面には強いと見ています。
特に、不況入りするときに見られるダラダラ下げ続ける相場では、空売りも発生しやすいため継続的な利益が見込めます。
日本証券金融の下値は限定的ですし、下げたとしても安心してナンピン買いを入れていけば良いでしょう。
日本証券金融は、ここ1年くらいはパッとしない株価で比較的割安な水準が続いていたと思っています。
配当利回りもそこそこだったので半年ほど前から3,000株ほど保有していたのですが、これを機に買い増しを進めています。
原油
需要が抑制されたことにより、原油価格は大きく下落しています。
一時は1バレル20ドルを割る局面もあり、その影響でアメリカのシェールガスの企業が倒産しました。
産油国でない日本にとって原油価格の下落自体はプラスとは思いますが、世界経済としてはあまりプラスにならないと思われます。
しかし今後もずっと原油価格が低いままになることは考えづらく、消費が回復すれば自然と原油価格も上がっていくと考えています。
[1699] NEXT FUNDS NOMURA 原油インデックス連動型上場投信
原油先物のETFです。
原油価格が極端に下落したときにはETFでこういった商品を買うのが良いと思います。
利回りなどはありませんが、原油を扱う企業の銘柄を買うのに比べれば倒産リスクを抑えることができます。
私は1バレル20ドル前後のときに買いました。
下げたら下げただけナンピンし、20%程度の利益が出た所で売却する予定です。
まとめ
コロナショックによる影響のありそうな業界と、注目している銘柄をいくつかピックアップしました。
ただし、現在もコロナショックの最中にであることには注意が必要です。
今後も当面は実需が極端に抑制され、体力のない飲食店などは倒産が相次ぐと想定されますし、最悪の場合は連鎖倒産から金融危機に繋がる可能性は否定できません。
もしそうなれば現在の相場の下落は一時的なものであり、さらなる下値を目指すことになります。
そうでなくとも、5月には3月決算の結果が発表されることでコロナによる業績への影響が見え始めるため、下落の可能性があります。
そもそも5月はセルインメイと言われる時期ですし、その辺りで買い増せるように投資資金は用意しておきたいものです。
見通しの悪い局面が続きそうですが、少しでも早く明るい未来を取り戻せることを願っています。
最近はダークプールもありますが… ↩︎