2017年3月18日(土)、GMOクラウドの株主総会に行ってきました。
株主総会の雰囲気
出席者は50人に届いていたか分からない程度で、席の1/3も埋まっていないように感じました。
昨年は平日の夕方、今年は休日の夕方という違いはありますが、最も大きな違いはお土産が廃止されたことかもしれません。
株主総会の後には、会社説明会も併せて開催されました。
質疑応答
質疑応答はおおよそ以下のような内容でした。
Q2にもあった、中古自動車にかんするビジネス展開が気になります。
- Q1:自己株式の買い付けについて
(一部聞き逃しました)
買い付けの際は証券会社に一任している。
現時点では、自己株式の買い付け予定はない。 - Q2:定款の変更に含まれている、中古自動車のビジネス展開について
現在は検討している段階で、決定した事項はない。確定次第、開示していく。 - Q3:セキュリティ事業の売上は伸びているが、その他は落ちているが、この傾向が続くのか?
現在IoTに注力しているが、他の事業についても伸ばしていくことを考えている。 - Q4:従業員の口コミでは福利厚生が削られ、ボーナスや退職金もないとのことだが、どうなのか?
福利厚生に関しては、業績が悪化したとき一時的に昼食サービスを止めた時期があったが、今は復活させている。
退職金については元々制度を用意していない。 - Q5:売上1億、損失4億の事業(IAM事業)があったと思うが、今後の見通しは?
IAM事業については、買収したフィンランドの会社からIoTに関するノウハウを取得した後、売却したことによる。
今後はこのような損失は発生しない。
ここで取得したノウハウは、ID管理サービスSKUIDに活かされている。
会社説明会
会社説明会では、以下の内容が特に印象に残っています。
- SSLの証明書の発行速度3,000枚/秒に対応している
- ICチップへの証明書の直接書き込みに力を入れていく
(参考: ARM社の「mbed IoT Device Platformパートナー」に 〜SoCレベルでIoTデバイスのセキュリティを強化〜 ) - 為替の影響を受けるので、ややかための業績予想としている
会社説明会でも質疑応答があり、簡単にまとめました。
- Q6:為替の影響があるとのことだが、いくらで予約しているのか?また、どのくらい変動するのか?
予約はしていない。
1円あたりの業績変動については、社外非公表とのこと。
(関係者に「1円で数百万円程度だったか…?」と問いかけていたので、そのくらいかもしれません) - Q7:総会の出席人数が少なくなったことについて、どのように考えているのか?
昨年の半分以下だが、お土産廃止の影響もあるとは思う。
まずは業績を上げることに注力していきたい。 - Q8:IAM事業のシングルサインオンについて、一般ユーザに課金するイメージで良いのか?また、どのくらいか?
まず、これは法人向けサービス。
社員のIDをコントロールできるようにするためのサービスで、IDaasと呼んでいる。
我々は後発なので、まずはユーザを集めるために無料で提供している。 - Q9:ARMとの提携について、デバイスに入れる場合のメリットやビジネスモデルなどは?
ICに入れることで、改竄ができなくなるというメリットがある。
また、ビジネスモデルとしてはクライアント証明書の発行料金として、1枚当たり○円という形となる。 - Q10:IoTでウシなどにICを埋め込むことについて、人間に埋め込むことも可能だと思う。人身売買への悪用が懸念だが、ウシとの判別などは可能か?
センサーを入れればウシとの判別などは可能だと思う。
アメリカではむしろ人体にICチップを埋め込むことが議論されているが、倫理的な面などが問題となっている。
(個人的には、ちょっと的はずれな質問だと感じました) - Q11:数年前の口コミだが、GMOグループ内ではクラウドが使用禁止だったり、サイボウズのものを使用しているなどの話があったが本当か?
特にクラウドの使用を禁止しているわけではない。
salesforceやサイボウズのグループウェアなどは使っている。 - Q11-2:なぜ自分たちのものを使わず他社のものを使うのか?そこを上手く取り込めないのか?
サイボウズのグループウェアなどは自分たちでは持っていない。
(おそらく質問が的外れだと思います。GMOクラウドはIaaS、サイボウズはSaaSで事業内容が大きく異なります。) - Q12:GoogleやAmazonなどの競合があるが、今後価格を下げたりする予定はあるのか?
(聞き逃してしまいました) - Q13:SaaStartを活用させてもらっているが、優待を使えるようにして欲しい。
検討する。
所感
総会の印象としては正直な所、将来性への不安を感じました。
まず、クラウドに関してはAmazon AWSやMicrosoft Azureがかなりの存在感を発揮しています。
これらのサービスでは開発や運用に関する環境をまとめてセットで提供しており、サーバーだけをレンタルするよりも手軽さが売りになっています。
またスケールメリットがあるため、これらのサービスは安価に提供できる傾向になると思われます。
そう考えると、GMOクラウドなどのように単純にサーバをクラウド上で貸し出す会社が今後どこまで太刀打ちできるのかが懸念です。
また、ICチップへの証明書の書き込みは、正直うまくいくのか疑問な点があります。
というのも、ICチップに証明書を書き込んで40年くらい…という話がありましたが、40年もセキュリティ技術が持つとは考えづらいからです。
電子証明書はセキュリティ技術が使われており、最近ではGoogleがSHA-1を破る実例を作ったことが話題になりました。
セキュリティの世界では攻撃アルゴリズムの発見や計算機の性能向上によって、セキュリティ技術が危殆化することはよくあります。
現在はSHA-2やSHA-3もありますが、これらが40年も持つのかという点はかなり疑問で、チップの置き換えや無効化が求められそうな気がします。
根本的に勘違いしているかもしれませんが、勉強のためにも質問しておくべきだったかもしれません。
また質問でも出ていますが、結構重要なインフラやセキュリティを担っている割には、給与水準が低いイメージがあります。
こういった給与水準が内部の不正等に繋がらないかという点については、少し懸念がありますね。
以上から買い増しはしない方針ですが、今後も保有は継続しようと思います。