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日本でカード決済が普及しない理由

日本でカード決済が普及しない理由 published on

日本におけるクレジットカードの利用率は本当に低いのか?にて、日本のカード決済は約18%に留まっていることが分かりました。
そこで、今回は日本でカード決済が普及しない理由について考えてみました。

店がカード決済を導入しない理由

そもそも日本ではクレジットカードが利用できない店舗が多いと感じます。
そこで、まずは店舗がカード決済を導入しない理由から考えてみます。

治安がよく、店舗の盗難リスクが低い

カード決済を導入するメリットの一つに、盗難対策があります。
クレジットカードやデビットカードなどの電子決済では店舗に現金が残りませんので、店舗に強盗が入った場合でも被害額を抑制できます。
また店員が現金を扱わなくなることで、店員が現金を窃盗・横領する機会を減らし、リスクを抑制できます。
このような理由から、一般的にはカード決済を導入することで盗難リスクが低減でき、それが店舗にとってのリターンにもなります。

一方、日本は世界的に見ても極めて治安が良い国です。
そのため、店舗に強盗が入るリスクは低いですし、店員による窃盗・横領のリスクも低水準です。
しかし、カード決済の導入には店舗に初期費用・維持費用などがかかりますし、決済手数料も取られます。
また、クレジットカード不正利用時のチャージバックのリスクに対する保険などの費用もかかります。
したがって盗難リスクの低い日本ではカード決済の導入・運用コストに比べると、カード決済の導入によるリターンが見劣りしてしまいます。

以上を総合すると、「盗難リスク>カード決済の導入コスト」である場合、店舗は積極的にカード決済を導入します。
しかし日本では「盗難リスク<カード決済の導入コスト」となっている可能性があり、その場合には導入するメリットが弱いと考えられます。

入金サイクルが遅い

カード決済した料金が小売店に入金されるまでには、日数がかかります。
具体的には「カード決済の料金は月2回、まとめて入金」といったような形です。
小売店はできるだけ早く資金を回転させるほど利益が出るビジネスモデルのため、資金の回転を遅くしてしまうカード決済は経営に大きく影響します。
そのため運転資金の限られた小売店であるほど、カード決済は非常に大きなデメリットとなります。

利用者が少なく、集客効果が限定的

日本ではカード決済を利用する消費者が限定的であることが挙げられます。
カード決済導入のメリットの一つとしてカード決済が可能なことを理由に店舗を選んでもらえること、すなわち集客効果が挙げられることが多いです。
確かにカード決済導入によって店舗を選んでもらえるのであれば、集客効果を期待して導入するのは一考の価値があると考えられます。
しかしカード決済の利用率が約18%に留まっている現状では、集客効果は限定的です。
海外からの観光客・出張者が多ければカード決済のニーズが高く、一定の集客効果が見込めると考えられますが、日本の消費者は国内在住の人が多く、やはり集客効果は限定的となります。

特に集客効果に関して言えば、日本においては「Tカード」の存在も無視できません。
TカードはCCCの発行する共通ポイントカードで、アクティブ会員数(1年以内に利用しているユニークな会員数)は6000万人います。
6000万人といえば日本国民の約50%以上です。
日本におけるカード決済は民間最終消費支出の約18%、Tカードのアクティブ会員数は約50%、これらは単純比較はできませんが、Tカードの存在感が大きいことが伺えます。
したがって「集客目的でカード決済を導入するくらいならTカードを導入する」と考える小売店も少なくないと考えられます。

個人商店に不向き

個人商店は特にカード決済が不向きです。
規模の小さい店舗はカード決済の導入費や手数料の交渉において不利で、高くなりがちです。
身内で経営している場合は前述の店員による窃盗・横領のリスクも低いため、カード決済を導入するメリットは薄く、維持費が嵩むデメリットのほうが目立ちます。
個人商店は運転資金が潤沢ではないことが多いため、入金サイクルが遅いこともマイナスです。

ただし楽天ペイ、Squareなどのモバイル決済サービスが登場したことにより、個人店舗においてもカード決済が導入しやすくなってきています。
これらのサービスでは導入費を実質0に抑え、手数料も低い水準に抑えている他、入金サイクルの短縮も実現しています。
そのため、モバイル決済サービスは個人商店におけるカード決済導入を大きく後押ししていると考えられます。

 

消費者がカード決済を利用しない理由

JCBのクレジットカードに関する総合調査 2015年度版 調査結果レポートによれば、クレジットカードの保有率は84%あります。
それではなぜ消費者がカード決済を利用しないのか、考えてみます。

カード決済に対応していない店舗が多い

そもそも店舗がカード決済に対応しておらず、使いたくても使えない機会が確実に存在します。
これは、カード決済の利用率を低水準に留める一因となっています。
カード決済に対応していない店舗は特に個人商店に多く見られますが、個人商店がカード決済を導入しない理由については、前述の通りです。

また、カード決済に対応していない店舗が多いということは、消費者は常にカードが使えるかどうかを確認しなければならないということです。
これもカード決済を利用する際の煩わしさとなりますので、カード決済の利用率を低水準に留める一因となります。

手間・時間がかかる

原則、カード決済ではPIN番号による認証やサインが求められるため、会計に時間がかかります。
現金や電子マネーの方が手早く会計を済ませられるため、急いでいる時にはカード決済が敬遠される一因となっています。
特に飲食店ではレジの効率化のため、ランチタイムはカード決済自体を禁止している店舗もあります。
カード決済が禁止でも電子マネーなどが利用できる店が多いため、電子マネーと同等の決済速度を実現できれば、カード決済の利用者は増加すると考えられます。

なお、スーパーやコンビニ、ドラッグストアなどで食料品を購入した場合は、基本的に磁気ストライプを使ったサインレスの決済となるため、現金決済よりも速く会計が完了します。
このことは意外と知らない人もいるため、もっと周知されればカード決済の利用者は増加すると思われます。

治安がよく、消費者の盗難リスクが低い

カード決済は消費者にとっても盗難・紛失リスクを低減する効果があります。
なぜなら盗難や紛失に遭った場合でも、カード会社に連絡して利用停止させれば金銭的な被害を防ぐことができるためです。
そのため、一般的には消費者は多くの現金を持ち歩くよりもカードを持ち歩くことで、盗難対策のメリットが得られます。

一方、日本は世界的に見ても極めて治安が良い国ですので、財布の盗難リスクなどが他国に比べて低いです。
しかしカード決済を利用する際は、常にスキミングや情報流出、ひいては不正利用のリスクが付きまといます。
元々の盗難リスクが低いのであれば、カードのリスクを正しく把握することや、紛失時・不正利用時の手間を煩わしく感じる人も多いと考えられます。
こうした煩わしさを考慮すると、現金決済の方が手軽という考え方も頷けます。

 

まとめ

今回は日本でカード決済が普及しない理由について考察しました。
一つには日本の治安の良さにより、店舗・消費者ともに「カード決済による盗難リスクの抑制よりも、カード決済のコストや煩わしさの影響が大きい」ことが考えられます。
また、「利用可能な店舗が少ない→消費者がカード決済の利用に消極的→集客効果が限定的→店舗はカード決済導入に消極的→利用可能な店舗が少ない…」と、マイナスのサイクルに陥っている可能性も考えられます。
入金サイクルや導入コスト・手数料の問題はモバイル決済サービスの登場により解決されつつあります。
しかし決済にかかる手間や時間ではまだ課題があり、電子マネーなどと同等のレベルが求められそうです。


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