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コンビニをとりまく2つのプラットフォーム構造

コンビニをとりまく2つのプラットフォーム構造 published on

コンビニは、現在でも成長を続けている巨大な市場の一つです。
その成功した要因と課題について、プラットフォームビジネスという視点から探ってみました。

二つのプラットフォーム

コンビニというプラットフォーム型店舗

コンビニは店舗自体が日常的に必要な商品やサービスを提供するプラットフォームとなっています。
スーパーマーケットやドラッグストア、家電量販店、百貨店などの小売店がプラットフォームとなっていることは、小売店に見るプラットフォームビジネスにて考察しました。
しかしこれらは物販中心のプラットフォームであったのに対し、コンビニは少し方針の異なるプラットフォームとなっています。

コンビニは食品や日用品の販売だけでなく、日常的に使われる様々なサービスを提供する窓口となることで、圧倒的な集客力を持ちます。
この圧倒的な集客力により「ついで買い」を積み重ねているとも言えるでしょう。
コンビニはスーパーマーケットに比べると購入点数は少ないですが、商品のほとんどが定価販売ですので粗利は大きくなります。

また、コンビニは日常的に使われるサービスとして、出納代行、チケット発券、郵便、プリンタ、ATM、宅急便などを提供しています。
窓口を代行することで手数料を受け取ることができますし、これらは集客力を大きく後押ししますので、食品や日用品の販売と相乗効果を発揮します。

フランチャイズはプラットフォーム型に類似したビジネスモデル

コンビニのビジネスモデルはフランチャイズです。
フランチャイズとは本部がブランド・商品・物流・ノウハウなどを提供する対価として、加盟店から売上○○%をロイヤリティとして受け取るビジネスモデルです。
このフランチャイズについて分析してみると、これ自体がそもそもプラットフォームビジネスと似た構造となっています。

プラットフォームビジネスの特長は以下の3つであることについて、プラットフォームビジネスの特徴と、投資すべき銘柄の見極め方にて述べました。

  • 多数のプレイヤーを巻き込むほど価値が向上する
  • ストックビジネスに匹敵する安定した収益性
  • 市場データの蓄積・活用

これらについて順番に見てみます。

多数のプレイヤーを巻き込むほど価値が向上する

フランチャイズとしてみた場合、プラットフォーマーはコンビニの本部、プレイヤーは加盟店となります。
加盟店の売上に基づくロイヤリティが本部の主な収益源ですので、ECモールと同じようにプレイヤーが増えるほど収益は増加します。

加盟店が増えていくことによりブランド力が強くなっていき、加盟したいと考える人も増えます。
そして加盟店を多数持つことで影響力が高まり、提携している他社サービスとの交渉にも強くなっていきます。

こうして消費者にとっては多様なサービスをどこでも受けられる、正に便利な店舗となっています。

ストックビジネスに匹敵する安定した収益性

コンビニは本部が加盟店を積み上げていく構造となっており、まさにストックビジネスと言えます。
また加盟店が増えても損失リスクは極めて小さく、着実に収益を積み上げていくことができます。

市場データの蓄積・活用

本部は加盟店の売上情報をすべて把握することができます。
したがって地域の売上データを把握することができるので、それを元に更なる出店計画を立てることができます。

また特に売上が大きいような地域では、本部が直営店を出店するという戦略を採ることも可能です。
ただし直営店と加盟店が競合することになった場合、加盟店に勝ち目はありません。
本部は資金力があるため赤字にも耐えられますし、直営店は一方的に加盟店の売上情報も把握することができるためです。

 

コンビニの問題点

本部に有利なロイヤリティと商品ロス

ロイヤリティ計算時の売上原価には在庫ロス・廃棄ロスが含まれないことが一般的となっています。
その結果、粗利をベースで計算するにもかかわらず、在庫ロス・廃棄ロスの原価の一部がロイヤリティに含まれてしまう仕組みになっています。

廃棄ロスについてはセブンイレブンのロスチャージ問題で有名になりました。
その後、廃棄ロスの15%を本部が負担するなどの変化はありましたが、それでも本部にとって圧倒的に有利な配分です。
セブンイレブンが「機会損失の撲滅」を謳うのは、このような構造下では店舗が全面的にリスクを負い、本部が収益機会のみを得ることによります。

この現状を考慮すると、「本質的にプレイヤーへ価値を提供しているか?」という点では疑問です。

本部のみに有利なドミナント戦略

コンビニはある地域へ集中的に出店するという戦略が採られており、これはドミナント戦略と呼ばれます。
ドミナント戦略のメリットの一つに配送コストを削減できることがありますが、これは本部にとってのメリットです。
それどころか加盟店にとっては店舗同士の競合が起こりやすくなり、リスクしかありません。
しかし本部は競合しても損しない収益構造となっているため、配送コストを優先することになります。

プラットフォームビジネスは競争させればさせるほど儲かるビジネス構造になりやすいという特徴がありました。
コンビニも同様に、同じブランドの加盟店同士でも競争させるほど儲かり、本部にとってはメリットの多い仕組みになっているのです。

これらを総合的に考えると、やはり「本質的にプレイヤーへ価値を提供しているか?」という点で疑問です。

 

今後の長期的な成長性には課題

コンビニの店舗は多様な業務をこなすことが必要になっており、現場にはかなりの負担がかかっています。
これまで24時間営業のコンビニを支えてきたのは多くのアルバイトですが、今後の少子高齢化では安定したアルバイト人材の確保は難しくなります。
かといってアルバイトの時給を上げることも難しく、現状の運営方法ではどこかで破綻することは避けられないでしょう。

このためには、店舗運営の省力化は必要不可欠となるでしょう。
最近のニュースでRFIDタグを使った完全セルフレジ実証実験のニュースが出ていましたが、この試みもその一環です。
このような自動化・省力化が進まなければ、コンビニ業界はいずれ人手不足による加盟店の縮小を余儀なくされることでしょう。

 

まとめ

コンビニは店舗自体が集客力の高いプラットフォームである一方、フランチャイズという形態もプラットフォームビジネスのような収益構造を持っています。
このような2つのプラットフォームの構造がコンビニの大きな成長を支えてきたと言えます。

その一方で、コンビニはリスクのみを店舗へ押し付けるような構造となっている部分があります。
このような現状において、「本質的にプレイヤーへ価値を提供しているか?」という点では疑問です。
正直な所、「現場に大きな負担とリスクを負わせ、本部が利益を持っていく収益構造」について、私はあまり賛同できません。

今まで右肩上がりで成長を続けてきましたが、今後は少子高齢化の影響も大きく、長期的な成長性には課題がありそうです。


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