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共通ポイントサービスのビジネスモデルと集客効果の限界

共通ポイントサービスのビジネスモデルと集客効果の限界 published on

近年、Tポイント/Tカードを代表とした共通ポイントサービスが広く利用されています。
今回は共通ポイントサービスのビジネスモデルと、その問題点について分析しました。

 

共通ポイントサービスとは

共通ポイントサービスは、多くの店舗で利用可能なポイントプログラムです。
一般にポイントプログラムは店舗が顧客をグループ内で囲い込むために提供されるものですが、共通ポイントサービスではその運営会社が加盟店を募り、その顧客基盤を共有します。

共通ポイントサービスで最も有名なのはCCC(Culture Convenience Club)の展開しているTポイント/Tカードで、公式サイトによれば、2017年4月末時点で年間利用者数は6,277万人です。
この他、Ponta、Rポイント、dポイントなどがあります。

 

共通ポイントサービス導入がもたらす効果

共通ポイントサービスを導入することで、加盟店には次のようなメリットがあります。

CRM機能の導入

共通ポイントサービスではCRM機能が提供されます。
例えばTポイント/Tカードではこちらで紹介されているように、以下のことが可能となります。

  • 購買履歴に基づく顧客ランクの設定(RFM分析)
  • リピート率や来店頻度、客単価などを向上させるクーポンの発行
  • クーポンの発券枚数などの確認

これは自社でCRMシステムを導入するよりも手軽で、比較的低コストであると考えられます。

消費者の集客・囲い込み効果

ポイントプログラムは消費者にポイントを意識させることで再来店を促す枠組みです。
そのため、消費者の集客や囲い込み、リピート率向上などが見込まれます。

ただし共通ポイントカードではこの効果は限定的となります。
というのも、ポイントは他の店舗でも利用可能だからです。
加盟店が増えるほどライバル企業も増え、集客や囲い込みの効果は希薄化していきます。

極端なケースを考えれば、全ての店舗がTポイント/Tカード加盟店であれば集客や囲い込みの効果は全くなくなるといえます。

店員の不正防止効果

レジ担当の店員の不正に「現金支払いの取引を、途中もしくは事後にキャンセルすることで現金を着服する」というものがあります。
こういった不正はポイントプログラムを導入することである程度未然に防ぐことができます。
というのも、ポイントカードを提示した来店客に対してきちんとポイントを付与するためには会計処理をキャンセルできないからです。
そのため、ポイントカードを使う来店客が多いほど、このような手段による店員の不正を防止することができます。

しかし一方で新たな不正として、「レジ担当の店員が不正に共通ポイントを取得する」というケースも出てきました。
具体的には「購入者が共通ポイントカードを提示しない場合に、レジ担当がこっそり自身のカードを通す」というものです。
これは購入者がレシートをしっかり確認すれば気付けることですが、コンビニではそもそもレシートを受け取らない人も多く、しっかり確認する人は稀でしょう。
したがってポイントカードを提示しない人が多い場合は、店員にとって不正の選択肢が広がってしまうことになります。

 

共通ポイントサービスのビジネスモデルと収益源

共通ポイントサービスはプラットフォームビジネスの一つで、主な収益源は加盟店から得られる手数料です。
Tポイント/Tカードを例に挙げると、加盟店の費用負担は以下のようになっています。(Tポイント提携営業代理店 株式会社産案 よくある質問より)
なおTポイントの関与売上について以前は3%と記載されていましたが、現在では3%~1.5%となっているようです。

  • 初期費用55,000円
  • 専用端末機レンタル代 基本料金7,500円/月
  • Tポイントの関与売上3%~1.5%(条件により異なる)
  • 追加端末代 2,500円/月

この中で何より大きいのは、Tポイントの関与売上でしょう。
共通ポイントサービスの運営会社はプラットフォーマーであり、どの加盟店(プレイヤー)が売上を立てても安定的に収益を見込める構造になっています。

ここまで読んでピンと来た方もいらっしゃると思いますが、共通ポイントサービスのビジネスモデルはクレジットカードと類似しています。
クレジットカードもプラットフォームビジネスですし、売上に基づく手数料という体系も同一で、例えばモバイル決済系では3.25%程度となっています。
クレジットカード会社が謳う価値の一つに「カード決済ができることによる集客効果」がありますが、加盟店が増えれば増えるほど効果が希薄化する点も、共通ポイントサービスと類似しています。
また、プラットフォーマーは消費者の購買動向を把握してキャンペーンを展開できるという点も類似しています。
そう考えると、共通ポイントサービスの真の凄さは「決済サービスと併用可能なポイントサービスとして、クレジットカードと同等の収益性を新たに確立したこと」と言えるのではないでしょうか。
特に、クレジットカードに比べれば踏み倒しや不正利用による損失リスクがない点を考えれば、3%でも収益性は高いのかもしれません。

 

まとめ

今回は共通ポイントカードのビジネスモデルについて分析しました。
共通ポイントカードはプラットフォームビジネスであり、安定した収益性があります。
特にクレジットカードと類似したビジネスモデルでありながらも併用可能であることは、小売店からの新たな収益源を確立したといえます。

しかし共通ポイントサービスは集客・囲い込みを謳っている一方で、加盟店が増えるほど効果が希薄化するという矛盾を孕んでいます。
クレジットカードも共通ポイントサービスも手数料は売上ベースで計算されますので、併用された場合は加盟店の利益を大きく圧迫します。
クレジットカードも加盟店が増えるにつれて集客効果は希薄化するものの、そもそも決済サービス自体が店舗から見て不正や盗難防止にも役立っている側面があります。
共通ポイントサービスはCRM機能も提供していますが、CRM機能だけでどれだけの売上貢献があるのかは疑問です。

共通ポイントサービスは広く普及しましたが、売上貢献が限定的と感じる小売店は離脱し始める可能性もあります。
今後、業界でどのような動きがあるのか注目したいところです。


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