今回は、電子書籍サービスを提供している会社として、カドカワを分析しました。
出版社KADOKAWAが運営する電子書籍ストア
カドカワはKADOKAWAとドワンゴの2つのグループ会社から構成されますが、電子書籍はKADOKAWAの事業です。
元々KADOKAWAは紙書籍の出版・販売を行ってきましたが、その電子版として電子書籍コンテンツの制作から販売まで行っています。
これは将来的に紙書籍の出版が減少していく可能性を考えれば、極めて妥当な事業判断だと言えます。
このKADOKAWAが運営している電子書籍ストアがBOOK☆WALKERです。
BOOK☆WALKERの特徴
KADOKAWAは多くのライトノベルやコミックを出版している企業として有名です。
BOOK☆WALKERではそのメリットを活かして作品の先行配信を行ったり、KADOKAWA系列の作品を優遇して割引やポイント還元するキャンペーンなどを行っています。
一方でKADOKAWA以外の電子書籍も扱っています。
これらは自社の書籍より利益率が低いと思われますが、品揃えが良くなければ他社に対抗できないため、仕方ないでしょう。
電子書籍業界の中でのシェア・知名度は高いとはいえない立場で、Kindleストアや楽天Kobo、eBook Japan、 Book Live、 hontoなどの方が上でしょう。
決算に見る電子書籍事業の高い収益性と将来性
カドカワ 2016年3月期決算通気決算説明資料を見ると、電子書籍は紙書籍と合わせて「書籍IP事業」に分類されています。
資料より、2016年3月期決算の書籍IP事業の売上高および営業利益についてまとめると以下のようになります。
事業セグメント | 売上高 | 営業利益 |
---|---|---|
書籍IP事業 | 778億円(38%) | 74億円(81%) |
書籍IP事業以外 | 1,231億円(62%) | 17億円(19%) |
連結合計 | 2,009億円 | 91億円 |
この表を見ると、書籍IP事業の売上高は全体の38%であることに対し営業利益は全体の81%と、利益に対して大きく貢献していることがわかります。
中でも電子書籍は予想比で営業利益+28億円となっているとのことで、大きく伸びているようです。
営業利益率10%というのは紙書籍だけでは難しかったと思いますし、電子書籍は紙書籍に対して非常に利益率が高いことが伺えます。
資料中のデータから電子書籍の売上比率についても計算してみました。
種別 | 売上高 |
---|---|
電子書籍 | 171億円(22%) |
紙書籍 | 607億円(78%) |
合計 | 778億円 |
22%が電子書籍の売上ということで、電子書籍の比率が高まってきていることが分かります。
しかし電子書籍はまだ普及段階かと思いますので、これからも利益の伸びが期待できそうです。
個人的には、紙書籍:電子書籍が50:50辺りまでは勢いが継続すると予想しています。
BOOK☆WALKERで使える株主優待も
1年以上継続保有すると、BOOK☆WALKERで使用可能な電子書籍の購入ポイント3,000円分が貰えます。
また、3年以上継続保有すると4,500円分貰えます。
これはBOOK☆WALKERを使う人にとっては非常に嬉しいでしょう。
企業側にとっても原価は比較的安いでしょうし、助かるのではないでしょうか。(笑)
2016年11月11日の株価水準では1株1,554円なので、3,000円は1.93%、4,500円は2.90%の利回りです。
これに配当20円(1.29%)が加わりますので、長期で見れば利回りも悪くありません。
まとめ
カドカワが運営するBOOK☆WALKERに注目して分析しました。
カドカワの書籍IP事業は電子書籍が大きく牽引していたことが分かりました。
また今後も電子書籍の更なる普及も期待でき、当面は業績を伸ばしていくことになると思われます。
株主優待もありますので、BOOK☆WALKERのユーザには特にオススメです。